
社員の退職が決まると、総務や実務担当の方には、保険や年金の手続き、備品の回収など、短い期間にやることが集中します。そのなかで意外と判断に迷うのが、会社で持たせていたスマホ(法人携帯)をどうするかです。
「端末は返してもらったけれど、回線はそのまま」「本人が番号を使い続けたいと言っている」「前任者が退職したあと、引き出しにスマホが残っている」。こうした状態は珍しくなく、放っておくと毎月の料金がかかり続けたり、会社の情報が社外に残ったままになったりします。
この記事では、退職者の法人携帯の扱いを、退職日までに決めること、端末の返却、回線の手続き、名義変更の順でまとめました。
まず全体像:回線の扱いは3つから選ぶ
退職者が使っていた回線の行き先は、大きく分けて次の3つです。端末の返却とデータの整理は、どれを選んでも共通で行います。
| 回線の扱い | 向いている場合 | 主な手続き |
|---|---|---|
| 後任や別の社員に引き継ぐ | 取引先に番号を知られている営業担当、回線数を減らしたくない | 社内での端末の受け渡し。キャリアへの手続きは不要なことが多い |
| 解約する | 後任がいない、回線数を減らしたい | キャリアや代理店へ解約を申し込む |
| 本人に名義を変える(法人から個人へ) | 本人が番号を使い続けたい、会社として番号を手放してよい | 会社と本人の双方の書類を用意し、キャリアで名義変更 |
どれにするかは、番号を会社に残す必要があるかで決めるのが分かりやすい基準です。取引先がその番号を知っている営業担当なら引き継ぎ、社内連絡が中心だった社員なら解約、というように整理できます。
手順1:退職日までに決めること
手続きは退職日の後でもできますが、本人がいるうちに決めておくほうが圧倒的にスムーズです。退職の申し出があった時点で、次の3点を確認しておきます。
- 番号の扱い:会社に残すか、本人に譲るか。本人が「番号を使い続けたい」と希望する場合は、会社として認めるかどうかを決めます
- 端末の扱い:返却してもらうのが基本です。本人に譲る場合は、分割払いの残りと会社の資産としての扱いを確認します
- データの扱い:業務の連絡先、写真、チャットの履歴など、会社に残す必要があるデータがどこにあるかを本人に聞いておきます
手順2:端末の返却とデータの整理
端末を受け取ったら、次の社員に渡す前、または保管する前に、データとアカウントを整理します。順番を間違えると端末が使えなくなることがあるので、次の順で進めます。
- 業務データのバックアップ:会社に残すべき連絡先、写真、資料を、会社のクラウドや共有フォルダに移す
- アカウントの解除:端末に登録されている Apple ID や Google アカウント、業務アプリ(チャット、メールなど)からサインアウトする。端末管理の仕組み(MDM)を使っている場合は、管理画面から該当端末を外す
- 端末の初期化:すべてのデータを消して、工場出荷時の状態に戻す
- SIM カードの取り出し:解約する場合や、別の端末で使う場合は、SIM カードを抜いて保管する
手順3:回線の手続き:引き継ぎ・解約
別の社員に引き継ぐ場合は、初期化した端末に SIM カードを戻し、新しい利用者の設定をするだけで済むことが多く、キャリアへの手続きは不要です。
解約する場合は、申し込みの前に次の点を確認します。
- 端末代金の分割払いが残っていないか(残っていれば、解約後も支払いが続くか、一括で精算するのが一般的です)
- 契約内容によって、解約時に費用がかかる条件がないか
- 月の途中で解約したときの料金の扱い(日割りになるかどうかは、キャリアやプランによって異なります)
手順4:本人に名義を変える(法人から個人へ)
退職する本人が「この番号を個人で使い続けたい」と希望する場合は、法人名義の回線を個人名義に変える手続き(名義変更)をキャリアで行います。一般的に、会社側と本人側の両方で書類が必要です。
- 会社側:名義変更を認める書類(承諾書や委任状など、キャリア所定の様式)、登記事項証明書、担当者の本人確認書類など
- 本人側:本人確認書類、支払い用の口座やクレジットカード
名義変更の可否、必要書類、手数料は、キャリアや契約の種類によって異なります。法人向けの割引やプランは個人名義に引き継げないことも多いため、名義変更のあとの料金が本人の想定と違わないよう、事前にキャリアや代理店に確認しておきます。端末代金の分割払いが残っている場合は、会社が精算するか本人が引き継ぐかも決めておきます。
退職後に忘れがちなこと
回線の手続きが終わっても、社内には退職者の番号や端末が前提になっている設定が残っています。次の点を見直しておきます。
- 銀行や取引先のポータル、クラウドサービスで、退職者の番号を 2 段階認証(SMS)の送り先にしていないか
- 代表電話の転送や、クラウド電話のグループ着信が、退職者のスマホに振り分けられていないか
- 業務用のチャットやグループに、退職者のアカウントが残っていないか
- 番号が変わる場合、取引先に後任の連絡先を案内したか
- 会社の回線一覧を更新したか
よくある失敗と、その対策
- 端末は返却されたが、回線は解約されず料金がかかり続けた
→ 退職の手続き一覧に「法人携帯の回線」の項目を入れ、総務が必ず確認する
- Apple ID を解除せずに初期化し、次の人が端末を使えなくなった
→ 「アカウント解除 → 初期化」の順番を手順書にして、本人が在職中に行う
- 退職者の番号が 2 段階認証の送り先になっていて、サービスにログインできなくなった
→ 解約・名義変更の前に、登録されている番号を洗い出して変更する
退職時のチェックリスト(コピーして使ってください)
- 番号を会社に残すか、本人に譲るかを決める(本人の希望も確認)
- 端末を返却してもらう。譲る場合は分割払いの残りと資産の扱いを確認する
- 業務データを会社のクラウドや共有フォルダに移す
- Apple ID / Google アカウント、業務アプリ、MDM から端末を外す
- 端末を初期化し、SIM カードを取り出す
- 回線を「引き継ぎ」「解約」「名義変更」のいずれかで手続きする
- 2 段階認証の送り先、電話の転送先、チャットの参加者から退職者の番号・アカウントを外す
- 会社の回線一覧を更新する
まとめ
退職者の法人携帯は、「退職日までに番号と端末の扱いを決める → 本人がいるうちにアカウント解除と初期化を済ませる → 回線を引き継ぎ・解約・名義変更のどれかで手続きする → 社内の設定を見直す」の順で進めると、料金のかかりっぱなしや、端末が使えなくなるトラブルを防げます。
セントラルビズでは、法人携帯の解約や名義変更の手続きのご相談をお受けしています。「退職者の回線が何本残っているか分からない」という段階でのご相談もお受けしていますので、お気軽にお問い合わせください。
セントラルビズは、愛知・岐阜南部・静岡中部・西部の企業を中心に980社以上の通信環境を見てきました。現在のご契約を無料で診断し、ムダのない形をご提案します。
無料診断を申し込む※ 記事の内容は公開時点の情報です。各キャリアの条件・料金・手続きは変更されることがあります。最新の条件は各社の公式情報、または当社までご確認ください。


